弓手原

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自然と文化の継承

今迫る、弓手原を限界集落としない為に

今、貴重で豊かな伝統文化が辛うじてあり、生物多用性の高い「弓手原」が里山としての形態を失おうとしています。

人の著しい減少、かつては山中にありながら豊富な農作物を恵んでくれた田畑は荒廃しています。

この地で水田の開墾は私たちの想像を超える、先人達の厳しい労働と執念を感じ得ざるを得ません。

この貴重な環境を穏やかにかたちをあえて変えたとしてもこれからの日本の未来を受け継ぐ子供たちに、又、子供に限らず、自然体験、森林教育、伝統文化を体験できるフィールドとして広く開放する手段は無いものでしょうか。

弓手原に今、生活している人、かつて生活していた人、少しでもゆかりのある人、又、自然に興味のある方にこの貴重な自然環境と伝統文化を無理のない又、恒常的な賛同を一人でも多くの方に戴きたいと切に思います。

熊野川源流弓手原の生物多様性

奈良県最西端で和歌山県を境に位置する弓手原は海抜800メートルであり、周りを峰・森林に囲まれ紀伊半島においても、ゆかりある高野山同様に気候は特異なものがあります。

冬の降雪、又夏も涼しくはありますが、里山として農作物、森林の成育は特に良質のものを産しています。

動植物においても人工森林が多くを占めますが、山中・沢に入れば、多様な動植物を見る事ができます。しかし、その貴重な環境・実態の調査観察はされておらず、そのモニタリング調査と残された環境保護、育成森林の適正な管理が急がれます。

日本最南端で生育する奈良県指定天然記念物のイワナ(キリクチ)、特別天然記念物のニホンカモシカ、多種多様に生息する野鳥、植物、源流、沢の魚介類は高野龍神国定に属している一部でも特に貴重な環境です。

自然森林教育フィールド としての弓手原

住まわれている人の高齢化が進みこのまま時間が過ぎるのを待つと里山としての形が失われるのはもうそこまで来ています。

山中に有りながら、他の集落に比べて平坦で広々とした地形は自然森林教育の場として最適です。

伝統文化の継承と開放

山中の閉鎖的な環境ではどうしても外部から色々な意味で受け入れる事が難しくありました。

今、中断している、又、簡素化している諸行事をある程度、復活させるのは最後の機会で、チャンスかも知れません。

永くに渡り引き継がれた貴重な古文書、書付、経典等を保存し、伝統行事の復活は社会的に価値ある活動と思います。

今、弓手原に現存している住居は厳しい環境の中で、住む人が色々な形で手を加えて保全してきました。ただ、殆どの構造は大きく変えられていません。今、常時住まわれていない家屋もあり、その貴重な住居の現状調査と適正な保全も急がれます。

恒常的・健全にこの里山で生活を営む為に

かつて弓手原の人々が体験した、戦争、疫病、自然災害、大火はさまざまな評価はあるとしても、絆、思いやり、助け合いの精神は先人から継続して今も深め引き継いでいます。

今、この弓手原で健全な生活を営む為にはこの貴重な自然を理解し、共感してもらえる人に一人でも多く、広く、開放するのがひとつの転機になるかもしれません。もちろん、そこには善意と道徳、モラルは人として留意する事が前提です。